テレビ生出演
きのう夕方放映された番組「NHKほっと@アジア」の hello@アジアのコーナーに出演した。
出演したといってもわずか3分ほどの中継で、奇しくもカップヌードルのできあがりを待つのと同じ3分だ。腹をすかしているときの3分は、じれったくなるくらい長く感じるのに、生放送の3分というのは、意外やアッというまに終わってしまった。
スカイプを通してこちらの画像が送られ、携帯電話をつかい(それに予備として固定電話を通話可能の状態にしたうえで)話がやりとりされる。あちらの画像──スタジオからの中継画像はこちらには送られないので、パソコンを目の前にして電話の声だけを頼りに会話が進むという仕組み。
この日は2時から最終打ち合わせがあり、スカイプ画像の調整や音声の確認があった。
画像送信についてはパソコン内蔵カメラよりも精度の高いウェブカメラを使おうということで、わざわざ日本から事前に調達していただいていたので、このとき初めてウェブカメラを操作して送信という段取りになった。
なったのだが、320万画素の画像送信はどうやらこちらのネット容量には荷が重すぎたらしく、さっぱり作動してくれない。結局、パソコン内蔵カメラをつかって本番にそなえる手はずに変更。
こんな感じでスタンバイ。パソコンにとりつけた web cam はただの飾りものになってしまった。
番組がはじまるのは日本時間午後5時で、hello@アジアのコーナーは5時20分スタート。バリ時間の4時10分には、スタンバイに入りふたたび固定電話と携帯をとおしての音声チェックがあった。
あったのだが、なんとこのとき固定電話が不通!
個人的には携帯電話がはげしく苦手で、携帯ですこし長めに話をしているとなぜか圧迫されているような気分になってイライラし、しまいには息継ぎが乱れ胸がドキドキしてくるという奇妙な「クセ」があるので、なんとか固定電話が活用できればいいと願っていたのに...。
何回目かのコールでやっと電話のベルが鳴ったときには心底うれしかった。
うれしかったのだが、しかし音声チェックのすえ、電話回線に雑音が発生するというので結局恐れていた携帯電話をつかう結果になった...。
本番前のそういった機械的なチェックとは別に、話のテーマになるポイントについても思わぬ「ミス」がとつじょ発覚!
この日のテーマは、先月23日にあった「サラスワティの祭り」だった。
サラスワティは知識をつかさどるヒンドゥの女神だが、この女神は腕が4本あり、それぞれの手には「巻物(本)」「蓮の花」「楽器」そして「数珠」を持っている。
ふつうは持っているのだ。
放映用に、あらかじめサラスワティの絵を近所の画廊で撮らせてもらい画像ファイルとして放送日の1週間前に送っておいた。
その絵のなかのサラスワティの手に「数珠」がないのが、担当ディレクターのKさんから指摘されたのだ(ん〜、細かい...)。
保存しておいた写真を拡大してみても、たしかに数珠のひと粒すら見あたらない。
「数珠」は知識や学問というのは代々伝えられていくものなのだという、すごく大事なコンセプトの象徴なのだが、このサラスワティときたら...。
ぼくは急いでスタッフのなかの年長者、この絵を展示している画廊オーナーの弟を呼んで、この写真を見せた。
「数珠がないよ、この絵」
「エッ、まさか ?! 」
ふたりで目をこらして4本の手首をなんべんもチェックしたのだが、どうやら蓮の花に隠れた手首があやしいと見た。
「アホちゃうか、この絵描き! めんどくさがって、数珠を持ってるはずの手を花に隠したんだよ」
「きっと、そうだ。この絵描き、兄貴のスタッフなんだ」
という思ってもみなかったいきさつのすえ、しかたなく本番ではサラスワティの手にしているはずの4つのシンボルのうち「数珠」については触れなかったのである。
ゴールデンウィークが明けたら、編集ビデオを送っていただくことになっているので楽しみにしている。
あ、けっきょく苦手な携帯電話をつかったけれど、胸はドキドキしなかった。いま思い出しても、3分間はつかの間の出来事だったから。