東京 1 週間

 


 先週日曜日、東京に到着した。


 翌日には雨が降りはじめる。
 バリの雨から逃れてきたつもりなのにここでもさっそく雨、しかも「秋の長雨」の気配だ。




林試の森公園。多種類の樹木が密生するこの公園に入ると、思わず深呼吸したくなるくらい空気がかわるのがわかる。


 帰国の理由のひとつは診療。
 ひとつひとつ、やや事務的にこなしていく。



単純に道具類を眺めているのが好きだ。道具にこめられている「創意工夫」を確かめ、その機能性に感心していつも眺めている。



こういうデザイン性には素直に「きれいだな」と反応してしまう。それで痛みがおさまるわけではないけど...。


                  *


 青空がのぞいた。



 舞い降りてきた雀が、なにかを期待するまなざしを向けて隣の椅子にとまっていた。





 晴れても雨が降っても病院に通う。



バッグを持ったままレントゲン室にむかう階段を下りようとすると、看護士さんが「お荷物もちましょうか?」と声をかけてくれた。丁寧に断ると、「階段、気をつけてくださいね」と優しいことばが返ってきた。そんな “年寄り” に映るのかなあとちょっと心外だったが、きっとこの看護士さんはとりわけ親切なひとに違いない。



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 東京はあいかわらず変貌しつづけている。



解体して...



やがて、こうなるのだろう。


 東京にいるあいだに、スカイツリーを観にいこうと思っている。


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読みかけていた本を早くも、というか間が抜けたことに紛失してしまった。病院待ち合い室か電車の座席にでも置き忘れたのだろう


 外出するたびに本を買いこんでいる。日本に帰ってきたときの愉しみのひとつだ。

 バリで過ごすおだやかにながれる時間の「種子」を、いま収集しているのかもしれない。