ココカン

 
 北側の田んぼでは今朝から「田おこし」が始まった。いまでは耕作機械を目にするのがあたりまえになったが、バリに住みはじめた頃は、鹿のような容姿のバリ産の牛に鋤(すき)を引かせているのどかな光景がどこでも見られた。



 田おこしが始まると、ココカン(白鷺)がかならず舞い降りてくる。あらたに掘りおこされた土のなかから出てくる生きものを狙っているのだ。

 十数羽のココカンは夕暮れになるまで、農夫の作業に張りつくようにして田をとりまいていた。