ムラピ大噴火

「ジョクジャカルタ火山研究調査所(BPPTK)のスバンドリオ所長は五日、先月二十六日から始まったムラピ山の一連の噴火活動は、一八七二年の噴火以来の大規模なものであるとの認識を示した。
 一九三〇年に起きた火砕流では千三百人以上の死亡者が出たと記録されているが、スバンドリオ所長は『噴出物の量では、今回の噴火の方が多い』と推測、噴火前から行っている避難活動が功を奏し、被害者数が低く抑えられているとの見解を示した。」(「じゃかるた新聞」11月6日付の記事から)

 
 6日の時点で「じゃかるた新聞」が伝えた犠牲者数は122人。同じ日の Tempo 紙の伝えた犠牲者の数は109人と開きがあるのは、病院ごとにまとめた死者の集計に誤差があるからだろう。
 取材漏れした病院がある、と断って81人の死者数を発表していたのは今朝の Bali Post だった。


 たしかに80年前の1300人にのぼる犠牲者の数にくらべれば少ない。「噴火前から行っている避難活動が功を奏し」た結果なのかもしれない。
 


 噴火第一報からTVニュースを見ていたが、犠牲者になったひとびとは、避難所から一時的に家にもどったその合間に火砕流に巻き込まれたケースが多かった。
 すでに活発化している火山の裾に住んでいたひとたちが、避難所から帰宅してしまうのはどういうわけなのか?


 家に置き去りにしてきた家畜の世話にもどったという話が伝えられていた。そのついでに、夕飯の支度をしている最中に火砕流におそわれたという話も聞いている。

 砕石や砂の採取に従事している労働者たちもいた。
 大丈夫だろうと見込んで、噴煙をふく火山の麓までふたたび仕事にでていたのだ。


 危険をかえりみず、といえばそうなのだろうが...。


 昨日の2度目の大噴火にともなう火砕流で亡くなったひとびともたぶん、生計にかかわる事情があったのかもしれない。


 ユドヨノ大統領は昨日からムラピ山を望むジョクジャカルタの大統領宮殿で執務をとると報道されている。


「役人たちは私に顔をみせなくてもよい。現場で仕事をせよ」と叱咤した。

「大統領自身この災害に対処するためにジョクジャカルタにとどまることを選択し、国民が被っている災難をみずから実感したいと望んでいる」(Bali Post 11月7日付記事)。


 損害をうけた家畜への補償も実施される。牛一頭につき1000万ルピア(約10万円)、家屋その他の損害に対しても政府補償が決まった。


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 2006年中部ジャワ沖地震のときに現地で救援活動をした友人の廣田緑さんが、いま日本で義援金募集をはじめた。
 くわしくは彼女のブログサイトに載っている。

 http://midoriart.exblog.jp/14361225/