ジャコウネコの贈りもの

 

 噂に聞いていた「コピ・ルワック/ Luwak Coffee」をタンパクシリンまで飲みにいった。


 道沿いにはぽつりぽつりと、数は少ないがこのコーヒーを飲ませる店が間隔をおいて並んでいたから、すでに知る人ぞ知る観光スポットになっているのかもしれない。
 農園とも庭とも区別のつかない敷地に植わっている木立のあいだの小道をたどり、崖ぎわに建っているオープンエアーのワルン風カフェでコピ・ルワックを飲ませるのだが、そこまで行く途中に繁っている果樹にまず目がいった。


 コーヒーの木、バニラ、パッションフルーツ、カカオ、白胡椒・黒胡椒の木が、枝を互いにからませながら緑の天蓋をつくっている。



よそのお宅の庭先を歩くようだ。         カカオの実があちこちになっている。


 
タマリロかな?           コーヒーの実はまだ青々としていた。熟したものは赤い。  


 コピ・ルワックはジャコウネコ(麝香猫)が食べて排泄したコーヒーの実を焙煎したものだ。ジャコウネコは実の果肉だけを消化し種の部分、すなわちコーヒーの原料となる部分は用もないから排泄してしまう。それをかき集めて洗浄し、焙煎する。



これがジャコウネコ。檻のなかでぐっすりと眠りこけていた。頭(左側)を、おりまげたからだに突っ込み手で顔を隠している。物音にも反応せず、身動きもしなかった。もう1匹、若いジャコウネコがべつの檻に飼われていたが、そちらはキツネのような目をしばたたかせてこちらの様子をうかがっていたが、カメラをむけるとくるりとからだを丸めて寝てしまった。



こちらが排泄物。コーヒーはしっかりとかたちを留めている。


洗ってから、カマドの火で焙煎



ジャコウネコの贈りものコピ・ルワック


 味はどうかと聞かれると、もともと嗜好品だから好みによって旨いともそうでもないと人それぞれだろうが、ふつうのバリ・コピよりはコクがありやや酸味も加わっている。
 ここで出されたのは、バリ・コピと同様コーヒーの粉を熱湯でといてどっぷりとカップに沈ませてある。ひと口飲むと舌にざらざらと粉が残るくらい、ずいぶんふんだんにコーヒー粉末をつかっている。


 ドリップにしたら、もうすこし飲みやすいのではないかなと思った。


 それで、パックをひと包み買って帰ってきた。