こういうことをしてもいいのかどうか分からないけど

 


 去年の5月以来3度目になる、スカイプをつかったテレビ生出演があった。
 日本時間5時20分の本番よりも2時間以上前からスタンバイして、リハーサルや音声チェックなどの調整があったのだが、今回は話す内容が多く、しかも本番30分前に最終台本が決まるという素人にはきわどい展開だったので、パソコン周辺には「カンニングペーパー」をペタペタと貼りつけておいた。



 放送内容は先日のニュピの話──ニュピ当日だけではなく、その前日のオゴオゴパレードやそれ以前に始まるオゴオゴの制作、また浄化儀礼ムラスティについてなど多岐にわたっていた。
 その番組内容をここにそっくりトレースしてしまおうというのだから、著作権なんかに触れるかもしれないなと思い「こういうことをしてもいいのかどうか分からないけど」というタイトルになったわけ。


 ま、気にせずいこう!


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さあ、続いて「ハローアジア」です。きょうはこちら!インドネシア、バリ島からです。
成瀬潔さんに伝えていただきます。

駒村)こんにちは!よろしくお願いします。
成瀬)よろしくお願いします。

駒村)さあ、きょうはバリ島の祭礼について伝えていだけるんですよね。
成瀬)はい、先週23日に行われた「ニュピ」についてお伝えします。
   「ニュピ」はヒンドゥー教のサカ暦という暦の、新年最初の日にあたります。
   ニュアンスはかなり違いますが、日本で言う元旦ですね。
   この日は、「火をおこしてはならない」「労働をしてはならない」「外出しない」などの規則を守らなければなりません。

駒村)仕事も外出もできないということは、みなさんどうされているんですか?
成瀬)まず、外には一切人影がありません。今ご覧になっている写真が、普段の町の様子です。
   結構、車の往来がありますよね。



 ところが、ニュピの日にはこうなります。



駒村)あ、ホントだ誰もいませんね!
   みなさん、家の中で過ごされているんですか?
成瀬)そうです。
   私の友人の中には、瞑想したり、あるいは断食したりして、静かに一日を過ごすという人もいます。

駒村)静かに自分と向き合う日ということなんですね。
   観光客はどうしているんですか?
成瀬)観光客も外出禁止は同じなので、ホテルの中で一日過ごすことになります。

駒村)は〜。成瀬さんも、お家で過ごされているんですよね。
成瀬)はい。ニュピでは、この日ならではの体験ができます。
   まず、朝、目が覚めると一切音がしないんです。鳥の声や風の音が身近に感じられ、普段、いかに人工的な機械音の中にさらされているかがよく分かります。
   不思議と、体も軽く感じられますしね。
   また、夜は電気を使わないので、晴れていれば満天の星空を楽しめますよ。

駒村)なるほど…体験してみたくなりますね。
成瀬)いいものですよ。また、ニュピの前日には、こんなパレードも行われます。

(ここで、You Tube にアップした映像が流れたはず)
  

駒村)一転して賑やかですね。何か人形を担いでますね?
成瀬)「オゴオゴ」と呼ばれる大きなハリボテを担いで、町をパレードしているんです。




駒村)この「オゴオゴ」は、ちょっと怖い感じですが、どういったものなんですか?
成瀬)オゴオゴは、おもにヒンドゥー世界の魔物をかたどったものです。
   日本で言うところの、妖怪ですね。



   パレードでは、これらの魔物をまつりあげて、お祓いしているんです。言わば、魔物をおだてて、荒ぶるエネルギーを鎮めているわけですね。
   こうして町を浄化して、新年の静かなニュピを迎えるのです。


駒村)は〜。それにしてもこのオゴオゴ、手が込んだアート作品ですよね。誰が作るんですか?
成瀬)地域の共同体ごとに、小学生からだいたい二十歳前後の青年が制作します。バリの人の手の器用さ、創造力には、本当に感心します。そんなわけで、毎年写真を撮っているんですよ。





また、このオゴオゴのパレードの3、4日前には「ムラスティ」という儀式も行われます。こちらは、村のお寺にある御神体を海で浄化する儀式です。


   
駒村)バリの人々は、宗教的な伝統行事をとても大事にされているんですね。
成瀬)そうですね。こうして伝統を継承していくのは素晴らしいことだと思いますし、日本人としても見習いたいですね。


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 と、こんなぐあいに5分ちょっとの生中継が終わったのであった。