House of Sampoerna 非観光的スポット案内

 


 スラバヤ市内のはずれに「グダン・ガラム」と並ぶ大手煙草メーカー「サンプルナ」の博物館がある。創業者は Liem Seeng Tee という移民中国人で、丁字入りの煙草を自宅でつくり小商いを始めたのが1913年のことだというから、1世紀の歴史を歩んできたわけである。


博物館正面。1932年、煙草製造工場として買い上げられるまでは映画館だったそうで、だからチャップリンやモンローが玄関脇にひかえているのだろう。


博物館の入館券(無料)も当時のチケットを模している。


館内に入るなり甘い香りにつつまれた。ここかしこに見える「王」の文字が気になり館員に尋ねると、「煙草王」をめざした創業者の意図がロゴとして表わされたのだという。


タバコの葉。


そして甘い香りの源、丁字の入った籠。ジャワ島、マドゥラ島、バリ島の各地から収穫された丁字は、それぞれに個性の異なる芳香をはなつ。手にとり、実を砕き鼻に近づけくらべてみたら、ジャワ産がいちばん刺激がつよく、バリ産はまろやかな香りがした。


入館した時間が午後も遅かったので、展示物を見るのはあとまわしにして地階にある工場の、4時には終業してしまう作業光景をまず見るよう、館員にうながされた。こう言ってはナンだが、こんなにてきぱきと手を動かしているインドネシア人を目撃するのは初めてのことで、作業工程がどうのというより、彼女らの素早い手の動きに圧倒された。1時間に平均325本の煙草を紙巻きしていくのだと、パンフレットに書いてあった。



世の風潮にながされずに煙草を吸うひとびと。


ここにも。


さらに、ここにも。



館内の装飾はレトロに満ちている。


レトロなポスターたち。


レトロなタイル


凸版印刷機


併設のレトロカフェでひとやすみ──しているあいだじゅう、写真には写っていないが(写さなかったが)、じつは、ほかの客たちのけたたましい笑い声やバカでかい話し声を耳にし、あげくは紙ヒコーキを飛ばして遊んでいる親子づれを目にしていたのだった...。