ボゴール熱帯植物園 2  非観光的スポット案内

 
 

 むかし、歳時記かなにかを読んでいるとき「犬ふぐり」のことばを見つけて吹きだしてしまったことがある。
 しかし、その17文字の句は、決して犬のきん◯まを詠んだものではないというのは、近くにいた友人が笑いこけているアホに教えさとしたおかげで、そのとき初めて、これが春の季語をあらわす植物名であって、きん◯まとはなんの関係もないという常識を知った。

 とはいっても、瑠璃色のちいさな花が実をむすぶと、色こそ違え、それはまさしく犬のきん◯まとウリふたつであり「犬ふぐり」の名称がじつに的を射ていて、先人の観察眼の鋭さに驚いたものだった。


 犬ふぐりはそれでよろしい。


 ところが、蘭の英名「オーキッド Orchid / Orchis」 が、「ギリシア語の睾丸を意味する “ορχις (orchis)” が語源であるが、これはランの塊茎(バルブ)が睾丸に似ていることに由来する」とウィキペディアで知ったときにはまったく腑に落ちなかった。

 そもそも蘭の「塊茎」とはなんぞや? と、庭にあるいくつもの蘭をこまかくチェックしたけれど、そんな塊りは見つけられなかった。
 それなりの年数を経れば、ニンゲンの睾丸に似た塊りが形成されるのだろうか、それともギリシアの蘭はもともと睾丸っぽい茎をつけているのだろうかと、あらたに湧いた疑問はいまだ疑問のままなのである。

 だいたい、そんな妙な塊りに注目せず、花の容姿から命名してくれていればこんな疑問も抱かずにすんだのにと思いつつ、和英辞典をめくっていると「睾丸炎」は orchitis とあり、やはり 蘭の名称とは深い関係があるのだなと了解したが、蘭を “睾丸” と呼ぶセンスにはいまだに納得のいかないものが残る。


 ボゴール植物園の Orchid House で撮った写真の一部を下に並べてみた。

 フォトショップがあまりうまく使いこなせていないので、胡蝶蘭が無惨にもひっつぶれてしまいよく見えないが、もっともポピュラーで誰でも知っている種類だから、手直しせずにアップすることにした。

 ところで、この Orchid House を訪ねるときには、蚊よけスプレーが必携。カメラをかまえている間、腕やふくらはぎ、首など蚊に刺されまくってしまった。