Nusa Lembongan 断想 非観光的スポット案内
いまの季節ならツーリストで賑わっていることもないだろうと思いつき、レンボンガン島を初めて訪ねてみた。
サヌール海岸から高速艇で30分、バドゥン海峡の激しい潮流をタテにヨコにと揺られてレンボンガン島の岸辺に到着した。埠頭もなにもない所で、船を降りると生ぬるい海水に膝までつかりながら砂浜まで歩いて渡った。
小さな島だから、半日もあればバイクで全島を走り巡れるのではないかと思い、レンタルしたバイクに乗り、これ以上は進めないだろうと思えるほど舗装がぼろぼろに崩れた個所にさしかかれば引き返したりしながら、マングローブの森を眺めたり、建設中のあたらしいホテルの数々を横目にして走ってみた。
むかし訪ねた沖縄の離島に雰囲気が似ていると感じたのは、黙りこくって静かにたたずむ家並みのせいなのか、海の気がからだをつつむせいなのか、いずれにしてもこぢんまりとして人影もまばらな土地柄にひさしぶりに「旅人」の気分を味わった。
あまりにも無意味といえば無意味な名前をつけられた Dream Beach にたどりついて、唯一のレストランで遅い昼食をとった。
けっきょく、この浜辺で日の暮れかかるまで、ベンチに横たわり潮風を浴びながら昼寝をしていた。
それにしても、こまごまと金のかかる場所だ──レストラン前の長椅子を借りるのにも別料金を請求され、泊まった宿で Wi-Fi を接続するのも、プールで泳ぐのにもいちいちそれ相当の金を支払わされる...。
Wi-Fi にいたっては、使いはじめて10分ほどで接続が切れ、どうしたのかと宿のスタッフに尋ねると、故障したので明日バリ本島から業者が修理にやってくるまで使えないと、いかにも離島の暮らしを物語るこたえが返ってきた。
翌朝、宿の前にある浜辺に停泊したアウトリガーの小舟から荷をおろすひとびとの姿を目にした。建築材の鉄筋やセメント袋を頭に載せて運んでいた。
そして、目を転じるとバリ島の聖峰アグン山がその頂きを雲の上からのぞかせている。
雨季が目前にやってきたと思った。